外国企業と交渉する際の「準備と心構え」とは?~事前にポイントを押さえておこう!~

台湾貿易の知識

こんにちは、合同会社 PLAN IN PLACE 代表の西村です。

私は27歳から海外ビジネスに携わり、今では30年以上の年月が経ちましたが、いまだに 海外ビジネスの奥の深さを感じる ことがあります。

例えば、外国企業と交渉をする際、決裁権限を持つ人 or そうでない人 に対しては「自分のカードの切り方 (=交渉の仕方)を変える」必要があります。

これは 経験を積まなければ身につかないスキル であるため、どれだけ指南書を読んでも、また第三者のアドバイスを聞いたところで、いざ交渉の場になれば 「自分の感覚と判断しか頼りにならない」ものです。

それゆえ、人によっては「その一言が明暗の分かれ道となる」ことさえあります。

とどのつまり「経験を積む」ことが重要であることには間違いありませんが、私自身は 加えて「先を読む力(=成功へのストーリーを考える力)を身に付けること」も 交渉においては(またビジネスにおいても)大きな力になると感じています。

どうでしょうか、皆さんは「明暗を分けた一言」を経験したことがありますか?

さて今回も、できるだけわかりやすく、また役に立つ情報をお伝えしていきます。

それでは最後までよろしくお願いします。

*今回は「外国企業と交渉する際の 準備と心構え とは?~事前にポイントを押さえておこう!~」  がテーマです。*

自分のカードの切り方 (=交渉の仕方)は万全か?

私が以前、企業に勤めていた頃、あるインド企業と ディストリビューター方式の販売代理契約、すなわち 現地販売店契約書 を締結したことがあります。

インド企業との契約書ですから、ありとあらゆる合意が必要な事項 を、事細かく記載するスタイルが基本となります。

それゆえ、第一STEPとしては 自らの契約書案に沿った項目を一つ一つインド企業の契約担当者(決裁権限のない業務担当者)と交渉すること になります。当然のことながら、契約担当者とは英語での会話となり、かつ終わりそうもない交渉が延々と続きますから、契約書の全てが合意に至るまでには最低でも数日間から1週間は必要となります。

そのあと、数STEPを経て、最後は決裁権限者であるインド企業の社長との直接交渉となります。

ここで私が驚いたことは、インド企業の社長の第一声が「今回の販売代理契約書案はうまく合意に至りましたか?」の一言であったことです。加えて、今まで決裁権限をもたない人々(インド企業の社員達)と粘り強く交渉した項目については一切触れなかったことです。

ここで私が学んだことは

  • インド企業の経営者(決裁権限者)がOKと言えば、全てOKとなること。
    • インド企業の社員達の意見は全く意味を持たなくなることもあるため、まずは「インド企業の経営者との信頼関係の構築が最優先課題であること」を理解すべきでしょう。
  • インド企業の経営者との最終交渉以前に「自分の持つカードを全て使い切ってしまう」ことは絶対に避けるべき。
    • インド企業の実務担当者との交渉段階においては「自分の持つカードを慎重に使うこと」がとても重要になります。

結局、このインド企業との販売代理契約書の締結は成功し、15年が過ぎた今でもこのインド企業の経営者とは 個人的にメール交信する関係 が続いています。

なおこの企業は インドの日用品分野において、国民のほとんどが知っている著名企業 であることを付け加えておきます。

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外国企業と交渉する際の「準備と心構え」とは?

私の経験をふまえて、代表的な項目を以下に説明します。

  • 外国企業との交渉時に準備すべき項目
    • 市場調査と取引先のリサーチ
      • 相手企業の信頼性や市場の動向を把握することでリスクを最小限に抑え、有利な交渉ができるようになります。
    • 契約条件の明確化(価格、納期、支払い条件など)
      • 契約内容を事前に文章化(明確化)し、自社の希望条件を整理することで、スムーズな合意形成が可能になります。
    • 文化・商習慣の理解
      • 国や地域によって商習慣が異なるため、相手の文化を尊重しながら慎重に交渉を進めることで、信頼関係を築きやすくなります。
    • 英語または相手国の言語の準備
      • 言語の壁があると誤解が生じやすいため、信頼のおける通訳を手配するか、最低限のビジネス英語を習得しておきましょう。
    • リスク管理と代替案の用意
      • 為替リスク・契約不履行・物流トラブルなど、考えられるリスクに対して、複数の対応策を事前に考えておくことで、交渉時の対応力が高まります。
  • 外国企業との交渉時の心構え
    • Win-Winの姿勢を持つ
      • 相手も利益を求めているため、一方的な要求ではなく、双方にメリットのある提案をすることで交渉がスムーズになります。
    • 柔軟性を持ちながらも譲れない点を明確にする
      • すべてを譲歩すると自社にとって不利になるため、妥協できる点とできない点を(頭の中で)素早く整理するしておくことが重要です。
    • 冷静かつ丁寧なコミュニケーションを心がける
      • 感情的にならず、また論理的かつ礼儀正しい対応をすることで、相手からの信頼を得やすくなります。《焦りは禁物! また、感情を顔に出すことは多くの場合、自社にとって不利な状況を招いてしまうことが多い と私は感じています》
    • 非言語コミュニケーションを意識する
      • 表情や身振り手振り、アイコンタクトなどは相手に与える印象を左右するため、適切な態度を心掛けましょう。
    • 最悪のシナリオを想定し、撤退基準を決める
      • 交渉が決裂した場合に備え、自社が譲歩できる最大限の代替案 や 交渉の撤退基準 を事前に 検討・準備 しておくことで、自社にとって不利な契約(メリットのない取引)を避けることができます。

どうでしょうか、皆さんは外国企業と交渉する際、どのような 準備と心構え で臨まれますか?

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~ローマ(海外事業)は一日にしてならず~

まさにこの ことわざ の通り、中小企業にとって海外事業とは「 人・もの・資金 が必要な 終わりのない戦い(中小企業の生き残りをかけた経営課題)」と言っても過言ではありません。

少子高齢化にともなう国内需要の落ち込み、国内市場における競合他社との価格戦争など、国内ビジネスを取り巻く環境は、年々悪化していることは間違いありません。

もし、国内ビジネスの環境が今後も悪化していくのであれば、企業経営者としてその対策を講じるほかに企業を存続させる方法はありません。

だからこそ、企業経営者自らが 会社の先頭 に立って「海外事業へ一歩前に踏み出す」ことに 大きな意味がある のではないでしょうか。

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