海外の輸入販売会社について ~輸出相手先をどのように決めるか~

台湾貿易の知識

こんにちは、合同会社 PLAN IN PLACE 代表の西村です。

私は海外貿易に従事して30年あまり、精密部品、耐久材、消費財、商社など様々な業種ジャンルを経験しながら、海外取引においては、「自社商品を輸入販売してくれそうな海外企業」を相手に 条件交渉や契約書の締結など、これら業務を幾度となく経験してきました。

例えば、「ある国では、既存の輸入販売商を別の輸入販売商に変更する」「輸出実績のない国や地域においては、現地の輸入販売商を見つけ出し、条件交渉のうえ取引契約を締結する」など、その状況は各国ごとに異なります。

しかし、現地輸入販売会社の ”業種” (メーカー or 商社) によっては、将来的に自社商品の販売実績に大きく影響することがあります。

今回はこの点について私なりの考え方を述べたいと思います。

それでは最後までよろしくお願いします。

*今回は「海外の輸入販売会社について~輸出相手先をどのように決めるか~」がテーマです。*

各国の輸入販売会社の役割とは?

私は消費財メーカーに勤務していた頃、主にアジア各国の輸入販売商を相手とした海外営業をしておりました。一般的に言う「代理店営業」です。

消費財メーカーからすれば、海外への輸出量が毎年右肩上がりに増加し、また各国の販売数量も同じように増えれば申し分ないのですが、実際にはそう簡単にいきません。

例えば、競合他社がプロモーション (販売促進活動) を仕掛けてくる、自社商品の市場在庫が増えすぎて現地の輸入販売商にリピートオーダーが入ってこない、などいろいろな問題が起こります。

こういった各国での輸入販売に対する全ての対応や責任を担うのが 輸出側 (メーカー・販売元) と契約を締結した 各国輸入販売会社 (Distributor) の仕事となります。

なお、各国の独占的な輸入販売会社を英語では「Exclusive Distributor もしくは Sole Distributor」と呼び、これらの輸入販売会社は「メーカーもしくは販売元と独占販売契約を締結している」のが通例です。

各国の輸入販売会社を決めるにあたって

各国で自社商品 (輸出商品) を販売してくれる輸入販売商を決めるにあたり、大きな問題となるのが「その会社の業種」です。

簡単に言うと、各国の輸入販売会社を選ぶときには、取引先候補となる企業の業種が 「メーカー or 商社」のどちらかになります。

では各国の輸入販売会社がこの2つの業種によって、将来的にどのような影響があるかを述べたいと思います。

メーカーの場合:

  • メリット
    • メーカーとして自社ブランドの流通経路を確立していることが多く、自社の流通経路で新しく輸入商品を発売することは比較的に容易である。
    • 消費者に対してメーカーとしてのブランドイメージを確立していることが多く、たとえ輸入商品であってもそのブランドイメージを享受することは可能である。
    • メーカーとしての機能を持っているため、一般的にはアフターサービスにおいてその対応能力は高い。
  • デメリット
    • メーカーが輸入商品と同じ商品カテゴリーを生産している場合、自社商品のバリエーション (品揃え) 強化として輸入商品を取り扱うケースがあり、このような場合には、メーカーとして自社商品の販売を優先する傾向が強く、輸入商品を販売することはその次になる (後回しにされる)ことが多い。
    • 輸入商品のデザインや機能など、商品仕様の一部を研究・盗用される可能性がある。
    • 長く取引をしていく中で、輸入商品の不回転在庫をため込む可能性が高い。

商社の場合:

  • メリット
    • メーカーのように自社商品を優先的に販売する必要性がないため、取扱商品を均等に販売してくれる傾向がある。
    • 輸入商品のデザインや機能など、商品仕様の一部を研究・盗用される可能性は低い。
    • 輸入商品の在庫数量はしっかり (的確に) 管理されることが多く、長期に不回転在庫をため込む可能性は低い。
  • デメリット
    • メーカーに比べて、自社の流通経路で新しく輸入商品を発売することに時間がかかることがある。
    • 消費者に対してメーカーほどのブランドイメージを確立しているケースは少なく、輸入商品がそのブランドイメージを享受することは一般的に難しい。
    • メーカーとしての機能を持っていないため、一般的にはアフターサービスにおいてメーカーレベルの対応能力を持っていないことが多い。

輸入販売会社はメーカーと商社のどちらがよいか?

私の経験から言えば、輸出側 (メーカーもしくは販売元) との相性が重要であり、一概にどちらが良いとは言い切れません。

ここで私の経験を少し紹介します。

私が消費財メーカーに勤務していた時、営業戦略に基づく各国輸入販売商の総合的な見直しを行ったことがあります。私が担当していた韓国市場には2社 (メーカー・商社)の輸入販売商がいましたが、最終的には商社 (1社) だけを韓国の輸入販売商としました。その結果、8年後には韓国向け年間輸出金額を当初の3倍以上にすることができました。

またインド市場においては、長らく商社 (1社) を輸入販売商としていましたが、熟慮の末にメーカー (1社)をインドの輸入販売商としました。その結果、市場での知名度が上がりブランド力を向上するきっかけとなりました。

どちらのケースも、私が勤務した消費財メーカーを取り巻く 各国の市場環境に合わせた選択 となっており、それゆえメーカーと商社のどちらが良いとは一概に言い切れないのが現実です。

ただ、輸出側 (メーカーもしくは販売元) と輸入側の 企業同士の関係性 (相性やビジョンの共有 など) が将来における結果 (輸出実績や各国市場シェア など) に大きく影響することは間違いありません。

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*最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。*

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